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日記

平成28年1月21日の日本昔話

力ばあさま:

昔、長野は佐久の内山(うちやま)に、物凄く力持ちの婆さまが住んでいた。
その怪力ぶりと言ったら、山で木を切れば、木の切り株を素手で掘り起こしてしまう程。
この婆さま、怪力の持ち主と言うだけではなく、気立てが良いので、村の皆からたいそう慕われていた。
ある時など、米俵を積んだ馬が川に落ちて、村の者から助けを求められた。婆さまは川に入ると、米俵をポンポーンと軽く放り上げ、最後には馬を担いで川から上がって来てしまうのだった。
さて、そんなある年の年の瀬。お正月も近づき、村の家々では餅つきが始まった。
婆さまの家でも、餅をつけない人に代わって、婆さまが餅をついていた。ところが怪力の婆さまのこと、婆さまが杵(きね)で餅をつく音は地の底の地獄まで響いた。
その音を聞いた鬼の総大将は、手下の鬼どもを集めて、地上から餅をくすねて来るよう命じる。
この年は地獄に来る亡者が少なく、地獄では正月の餅が不足していたのだ。そして婆さまのいる村には、地獄でも一番の力持ち、万力(まんりき)という名の鬼がやって来た。
万力は村の家々を回っては餅を脅し取り、とうとう最後に婆さまの家に来た。
鬼などに餅をやりたくない婆さま、何食わぬ顔で「もち米が不作で餅はついてない。」と言う。
一方の万力も、どうにか餅を奪おうと「ワシの餅をやるから手を出せ。」と言う。
婆さまが窓から手を出すと、万力はすかさず婆さまの手を取り、「腕を抜かれたくなければ餅を出せ!」と脅す。
「ワシと力比べをしたいと言うんか?」婆さまは思い切り万力の腕を引いた。こうして窓越しに、婆さまと万力の力比べが始まった。
勝負はなかなかつかなかったが、最後は婆さまが万力の腕を抜けんばかりに引き、万力は泣きながら許しを乞う。
婆さまは、万力に二度と悪さをしないと誓わせ、手を放した。万力は奪った餅を村人に返し、ほうほうの体で逃げて行く。
ところが、婆さまがあんまり強く腕を引いたものだから、途中で左腕が抜け落ちてしまった。平賀の村はずれの落手場(おってば)という所が、鬼の腕が落ちた場所だと伝えられている。

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