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日記

平成28年2月12日の日本昔話

太郎作の夢:

むかしむかし。あるところに貧乏な太郎作という百姓がいました。ある日、いつものように畑で働いている時のこと。
ちょうど年の瀬で、麦の中耕をしていると、一人の汚い身なりの坊さんが通りかかりました。その坊さんの汚い身なりときたら、乞食のようでしてた。
ところが、その坊さんが、「私は長福寺へ行きたいけに、道を教えてくれまいか」と言いました。
太郎作は気立てのよい百姓でしたから、その坊さんをわざわざ連れて、長福寺まで行きました。
坊さんは喜んで、お礼のしるしにと言って一文銭をくれました。太郎作は家に帰って、その一文銭を妻に渡しました。
太郎作の妻はたいそうありがたがって、「明日はもう正月というのに、内ではもう餅一つ買えなくて、困ってたところじゃ。
この一文銭で餅でも買うてくるわいな」と言って、町へ餅を買いに出かけていきました。
餅を二つ買って帰る途中、一人の哀れなお婆さんに会いました。ボロボロの着物を着て、道の端でジィッとうずくまっていました。
「婆さん婆さん、どうしたのな」と聞きました。
お婆さんは昨日から何も食べるものがないけに、ひもじくて困っているといったので、懐から餅を一つ取り出して、お婆さんに上げました。
そして、家に帰ると、妻はこのことを太郎作に話しました。
太郎作は、「それはええことをしたの。
明日の朝の餅は二人で仲よう、三日月形に切って食べたらよかろう」と言って、その夜は二人とも寝てしまいました。
その晩遅くなってからか、昼間、道を教えてあげた坊さんが、布袋さんの姿になって、大黒さんや戎さんをお供に連れてきました。
七福神は枕元で車座になって、この夫婦は来年は良い運が舞い込んでくるぞと、大きな槌を振り上げて言っています。
この時、ハッと太郎作は気が付きました。それは夢だったのです。
目を覚まして、妻を起こし、夢の話をすると、妻も同じような夢を見ていました。
元旦になって、二人は餅を三日月形に切って、お祝いをしました。
その後は夢の通りで、その年から運が急によくなり、太郎作の家は村一番の分限者となりました。
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