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日記

平成28年4月15日の日本昔話

里見の稲荷:

昔、青森の里見というところに窪田の旦那と呼ばれる庄屋さんがいました。窪田の旦那は、何年か前に行き倒れになっていた婆さまを助けて、屋敷のすみに住まわせていました。
この屋敷の裏山には、足腰のたたない年老いたキツネが住んでいて、婆さまは自分が生かしてもらっている幸せを分けてあげようと、毎日もらう自分の食べ物をこのキツネにも分けてあげていました。ところがある年の春、いつの間にかそのキツネがいなくなってしまいました。
さてその年の秋、村の若者たちが京見物に出かけることになり、窪田の旦那から餞別(せんべつ)をもらって元気に出発しました。
江戸まで百五十里までの道のりを歩いて、ようやく到着した賑やかな京の町を散策していると、なんと窪田の旦那と出会いました。
なんでも、自分も京見物がしたくなり一日遅れで出発し一日早く京に着いた、というのでした。
若者たちは、旦那の早足に驚きつつも「すぐには村に帰らないから先に村に届けてほしい」と、一つの包みを手渡されました。若者たちは京の町を心行くまで楽しんでから、青森までてくてく歩いて帰って行きました。
そして、若者たちが預かった包みを届けに屋敷へ行くと、なんとそこには旦那がいました。
どうやら、旦那はもともと京へは行っていないという事でした。
そこへ、この不思議な話を聞いていた婆さまが入ってきて言いました。
「きっと裏山のキツネが毎日分けてあげた食べ物に感謝して、親切の大元である旦那にお礼をしたのだよ」この包みを開けると“摂津紀伊郡 稲荷本官”と書かれた、ありがたいお札が出てきました。
それでも旦那は「お札は婆さまの物だ」と納得しないので、屋敷内に小さな祠を建ててお札を納めました。
親切はまわりまわって報われる。
人情にあつい北国でのお話です。
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