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日記

平成28年5月23日の日本昔話

牛飼い源次

岩手県は九戸郡、九戸富士と呼ばれる階上岳のふもとに、源次と言う目はしの利く牛飼いが住んでいた。
この源次が所有する大牛は体も大きく角も立派で、牛同志の角合わせでも決して負ける事が無かった。
ある晩、この大牛が突然姿を消してしまい、源次は牛が盗まれたかと慌てに慌てて方々を探しまわった。
見つからずに落胆して家に戻ると、牛は既に牛小屋に戻っていて寝ているのであった
そんな事が幾度も続いたので、不審に思った源次はある時寝た振りをして様子を伺い、夜中にそっと家を出た牛の後をつけて行った。
すると牛はどんどん山奥に分 け入り、やがて山中の原っぱに辿りついた。
そこにはこれまた大きな体を持った熊が待ち構えていた。やがて牛と熊はがっと組みついて力比べを始めた。
毎晩牛が居なくなるのは熊と力比べしていたからか、と気付いた源次は、何とかして牛を勝たせてやりたいと思い、ある日牛が寝ている隙をついて、牛の角に油を塗りつけておいた。
その晩も、牛は家をこっそりと出て山奥へ分け入り、熊と力比べを始めた。
牛と熊ががっと組み合い、熊が牛の角に手をかけた瞬間、塗ってあった油でずるっと滑り、そのまま牛の角が熊の胴を貫いた。熊は死んだ。
源次は牛が勝ったので大喜びしたが、それ以後牛は腑抜けのようになってしまい、餌を食べるのも拒み続け、幾日か後にあの熊の屍骸と同じ場所で眠るようにして死んだ。
源次は今更ながらに後悔し、牛と熊をその場に弔った。
この社は、「牛熊の社」として長い間残っていたという。
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