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日記

平成28年6月10日の日本昔話

二度なりの栗

むかし、ある山奥に、炭焼きの親子が小屋を作って、一年中炭を作って暮らしておりました。
ある時、この父親が病気になってしまいました。せがれは意を決して、「薬の木」があるという御前淵(ごぜんぶち)に向かう事にしました。
しかし、これまで淵へ向かった者は一人も帰ってこず、災害が起こる前には淵の方からドンドンドンドンと大きな音がするので、淵には近寄ってはならぬと言われていました。
ようやくたどり着いた御前淵には、一本の木が生えていました。せがれが、斧で枝を切ろうとすると、淵の中から光が出てきて淵に引きずりこまれてしまいました。
気づいたところは、水の中ではなく不思議な世界。せがれは、極楽に来てしまったのかと歩いていると巨大な太鼓が現れ、その先の滝の傍に美しい女が座っていました。
せがれは父親が病気になってしまったので、なんとか薬の木をひと枝欲しいと頼みました。女は「ならぬ」の一点張りでしたが、せがれの必死の頼みから「お前の心に免じてこの栗を二つやる。
ひとつは病気の父親に粉にして飲ませ、もうひとつは里に植えてやるがよい」
せがれが「貴女様は一体…」と尋ねると、女は「私はお前の里を見守っている者。里に災いが降りかかるような時にはそこの太鼓を使って知らせているのだ。」そう言って、女はふっと消えてしまいました。
家に戻ったせがれは、言われたとおり栗を一つ煎じて父親に飲ませると父親の病は治ってしまいました。
残ったもうひとつの栗を庭に植えてみると、すぐに芽を出してぐんぐん成長し、1年のうちに高くそびえる立派な栗の木に成長しました。
この栗は煎じて飲むとどんな病気もたちどころに治り、さらに1年に2回も実をつけるので「二度なりの栗」と呼ばれるようになり、大切に扱われるようになりました。
それから、御前淵の方で太鼓のような音がすると災いの起こる前触れとして、里の者はよく備えるようになったので、大きな被害が里に起こることはなくみな幸せに暮らしたということです。
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