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日記

平成28年6月19日の日本昔話

ケラ売りじっちゃ

ケラ売りじっちゃと呼ばれるおじいさんが、深い深い山奥の谷間で、ばあ様に先立たれてひとり暮しておりました。
働き者のじっちゃはいつももっと奥深いマンダの森へ分け入っては、苦労して一枚づつ木の皮を穿いで持ち帰ると何日もケラ作りをするのでした。ちなみにマンダとはシマの木でケラは箕のことです。
市の立つ日にケラを抱えて遠くの町に出かければ、じっちゃの丈夫なケラは大評判であっという間に売り切れますから、じっちゃは儲けた銭でちょいと一杯飲んだり、ばあ様の好物を仏壇に供えたりするのでした。
じっちゃがいつものように森の奥でせっせと働いていたある日、山に生えた大木より背の高い大男が現れて、煙草の火をかりたいと言ってきました。
腰を抜かすほど驚いたじっちゃでしたが、火打ち石でキセルに火をつけてやる時に、大男の腕から血がポタポタこぼれているのに気がついて、血止めの薬草を採ってきて傷の手当てもしてやりました。
大男はポロリポロリと涙を流すと、山に向かって願いを叫べば山のものなら何でも持ってきてやると言って去りました。
家に飛んで逃げ帰ったじっちゃは三日三晩おっかない夢で苦しみましたが、逃げて帰る時に置きっぱなしにした荷物が気になって、山を見ながら何とはなしに「マンダの皮を持って来ねば」とつぶやきました。
するとその夜中には、大きな足音とともに山盛りの新しいマンダの皮が家の前に届けられ、大男が帰って行く後姿が見えたので、じっちゃは大男が山の神様だったのだと気がつきました。
それからはじっちゃが山に声をかければ、マンダの皮だけでなく季節とりどりの山の幸もすぐに届けられるようになり、じっちゃはケラ作りにいっそう励んで達者に暮らす事ができました。
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