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日記

平成28年7月11日の日本昔話

塩ふきうす

むかし、ある所に兄と弟が一緒に住んでおった。
兄は強欲なだけの怠け者で、家や田畑を働き者の弟に手入れさせておった。
ある時、弟は女房をもらったが、兄は弟に田畑を分け与えず、貸すことすらしなかった。
それで弟夫婦は家を出て、荒れ地に新しい田畑を作り始めた。
じゃがそれは容易なことではなく、年越しの晩には弟の家には一粒の米もなくなっておった。
弟は兄に米を借りようとしたが、兄は一粒の米も貸してくれなかった。
弟が仕方なく家に帰る途中、ごうと強い風が吹いてきて、気がつくと奇妙な爺さんが立っておった。
爺さんは麦饅頭を差し出し、「お堂の裏の穴に行って、この麦饅頭は石臼となら取り換えても良いと言うんじゃよ。そうすれば良い正月がくる。」と弟に教えたそうな。
弟が麦饅頭を持ってお堂の裏の穴に入って行くと、誰かが「これと換えてくれ。」
と黄金を山のように積み上げた。
「この麦饅頭は石臼となら取り換えてやる!」と弟が叫ぶと、わっと小人達が現れ、あっという間に弟の手には石臼だけが残っておった。
それは宝の石臼で、『右に回せば望みの物が出てくる。左に回せば止まる。』というものじゃった。
弟は早速家に帰り、最初に石臼から米を出し、それから塩鮭を出し、馬を出し、屋敷を出して、一晩のうちに長者様になってしもうた。
翌日、弟は村人達を集め、ご馳走を出して正月を祝った。
ところが兄は面白くない。そうして、兄は弟が石臼で土産のお菓子を出しているところを盗み見たのじゃった。
そうして兄は、その夜の内に石臼を盗みだし、舟に乗って先祖代々住んだ土地を逃げ出した。
舟が沖に出た頃、兄は一緒に盗んだお菓子ばかり食べていて塩辛い物が食べたくなったので、石臼を回して塩を出した。
ところが石臼はもの凄い勢いで塩を出し始め、止め方を知らなかった兄は舟もろとも海の底深く沈んでしもうた。
石臼は、今でも海の底で塩を出し続けておって、海の水が塩っ辛いのはそのためだそうじゃ。
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