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日記

平成28年8月13日の日本昔話

鈴と観音様

むかし、宮城県鶯沢の日向(ひむか)という所に田の神様があって、そこに鈴が一つぶら下がっておった。
ところがこの鈴、たいそう音が悪かったそうな。
「他所の神社だったら、違うかもしれねえ。」そう思った鈴は、近くの袋(ふくろ)という所の金毘羅様にやって来た。ところが、金毘羅様の参詣の人々は皆、鈴の音の悪さに逃げ帰ってしもうた。
「鎮守の八幡様に行けば褒める人がいるかもしれねえ。」
こうして鈴は八幡様にやって来て、既にあった鰐口(わにぐち)の脇へぶら下がったが、八幡様でも誰一人鈴の音を褒める人はおらんかった。
「向原(むかいっぱら)の御駒(おこま)さんの所なら、参詣の人も多いし一人くらいは褒める人がいるはずじゃ。」しかし、ここでも鈴を褒める人はおらんかった。
「鈴の音を聞いたことがない人が聞けば良い音だと思ってくれるかもしれねえ。」
鈴は最後の望みを抱いて、はるばる細倉鉱山(ほそくらこうざん)を通り、山神様までたどり着いた。鈴はもうぼろぼろになっておった。
「はよ、おらのこと鳴らしてくれろ。」
山奥の山神様だけに参詣人もめったになかった。
そうして、ようやく現れたお参りの人は、鈴の音の悪さに悪態をついて帰ってしもうた。
鈴はもう最後の望みも断たれてしもうて、ぽとりと地面に落ち、あてもなく転がった。
そうして駒ヶ淵まで来ると、鈴はそのまま淵へ身を投げて、ぐしゃりと潰れてしもうた。
鈴が潰れた岩は、かのど森(かのどもり)の岩じゃった。
そうしてかのど森の観音様は、哀れな鈴を一匹の虫に変えてやったそうじゃ。
その虫は澄んだ鈴の音のような美しい声で鳴くので、人々は大層喜んで「鈴虫」と名付けたそうじゃ。
こうして鈴はやっと救われたのじゃった。
今でも秋になると、人々は鈴虫の鳴き声に心を慰められるということじゃ。
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