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日記

平成28年9月01日の日本昔話

辰子姫物語

昔、院内(いんない)の里に辰子という一人の娘がいた。辰子は野山を駆け巡り、自然にはぐくまれて育ち、やがて美しい娘になった。
しかしそんな辰子は、まだ自分の美しさに気づいていなかった。
ある秋の日、辰子が木の実を取りに山に入ると、茂みの中に鏡のように澄んだ泉を見つけた。辰子は泉の水でのどを潤すと、何気なく水面に目を落とした。
辰子はこの時、初めて自分の姿を見て、その美しさに気がついたのだ。
それからというもの、自由奔放に野山を駆け回っていた以前の辰子は影を潜め、辰子はじっと物思いに沈むようになった。
自分の美しさに気づいた辰子は、年を取ってその美しさを失うのが耐えられなかったのだ。
「いつまでも美しいままでいたい。」
辰子の想いは募るばかり。
思いあまった辰子は、毎晩観音堂に通い願掛けをするようになった。すると百日目の夜、辰子にお告げが下った。
お告げはこうだった。「辰子よ、お前の願いは本来、人の身には許されぬこと。
しかし、美しさにとらわれて苦しむお前の姿は哀れだ。
この山の北にある湖の水を飲むがよい。その水を飲めば永劫の若さを手に入れるだろう。」
翌日、辰子はお告げの通り、山を北へ北へと進んだ。
すると、山の鳥、木々のざわめき、果ては風までもが「辰子、村へ帰れ、北へ行くな!!」と言って辰子の行く手を阻む。
だが、辰子はこれを聞かず、なおも北へと進む。
そうして三日目に、辰子はとうとう湖に着いた。
辰子が湖の水を飲むと、全身の血が熱くなり、体を逆さに流れるようであった。そしてしばらくすると、辰子の体は一頭の龍に変わっていた。
しかし、湖面に映る辰子の姿は、いつまでも美しい娘の姿のまま。
こうして辰子は、永遠の若さを手に入れ、ずっとこの湖に住んだ。
それからというもの、村にいる辰子の母のもとには、湖から魚が届けられるようになった。
これは、辰子が元気に暮らしている証に送ってくるのだと言われている。
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