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日記

平成28年9月05日の日本昔話

松山の洞窟

戦の後、落ち武者が村に逃げてきた。
村人は同情して捕らえようとはしなかったが、助けるわけにもいかず近くの洞穴に隠れていることを見て見ぬ振りすることが精一杯だった。
ある夜、大豪雨のせいで落ち武者が隠れている洞穴が大岩で埋まってしまう。
落ち武者は必死で助けを呼んだが、村人は落ち武者を助けると自分たちが咎められるので、
身を切られるような思いでその声に耳を耳を塞ぐしかなかった。何日かして、とうとう声が聞こえなくなったので村人は、落ち武者が力尽きて死んだのだと思い、気の毒に思いながらもほっとした。
しかし、またしばらくすると埋まった洞穴の中から声がする。
この前までの苦しげな声ではなく、悲しげに歌を歌っているのだ。その声は何年も途切れることがなかった。
村人は恐れおののき、慰霊をしたが歌声はおさまらない。
何十年も経ったある日、突然洞穴を塞いでいた大きな岩がぐらりと動いた。
信じられないことに、洞穴の中から、白骨化した落ち武者が岩を持ち上げるような格好で後に続いて出てきた。
しかし、彼はどうみてもただの屍で、もう何の声も出さなかった。
久しぶりに太陽を浴びたその顔は、恨みも悲しみも最早無く、晴れ晴れとしていたという。
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