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日記

平成28年10月30日の日本昔話

泣いたびんぼう神

むかし、ある村に貧乏な男がおった。あんまり貧乏なのでこの家の天井裏には貧乏神が住み着いておったそうな。
ある日、この家に和尚の紹介で嫁様がやって来た。
嫁様はぼさぼさの男の頭を自分好みの髪型にして、そうして二人は夫婦になったんじゃと。
この嫁様はなかなか働き者で、それからは朝早くから男は山に柴刈りに、嫁様は池にシジミ採りに行き、二人揃って町に売りに行った。
夫婦は毎日本当によく働いたので少しずつ小銭が貯まるようになった。ところが、一方の貧乏神は心配で夜も眠れんようになったそうな。
そうして明日はお正月という年越しの夜のことじゃ。
嫁様が蕎麦を打って、夫婦は幸せな気持ちで年越し蕎麦を食べておった。
すると何やら天井裏から泣き声がする。「泣いておるのは誰じゃ?」と男が尋ねると、汚い爺様がふわりふわりと降りて来た。
爺様は自分は貧乏の神じゃと名乗り、この家の暮らし向きが良くなったので、今夜福の神がやって来ると言う。
こんな年越しの晩に追い出されたら、どこに行くあてもないと、貧乏神はほろほろと涙を流した。夫婦は少し驚いたが、「心配せんでもええ。」と、きっぱりと言い、涙を流す貧乏神に蕎麦や魚を振舞った。
やがて夜も更けた頃、大きな袋を担いだ福の神がやって来た。
戸を蹴破って家の中に入ろうとする福の神を、男と貧乏神は必死になって入れんように踏ん張った。
じゃがそのはずみで囲炉裏にかけてあった鍋の煮え湯が、福の神にざんぶりとかかり、福の神は悲鳴を上げて逃げて行ってしもうたそうな。
じゃが福の神は一つ忘れ物をしていった。
それは打ち出の小槌で、望みの物が何でも出てくるという宝物じゃった。夫婦と貧乏神は、小槌で米や酒を出して大喜び。
こうして次の日、めでたいお正月を迎えて、嫁様は貧乏神の頭を綺麗に剃ってやり、男と貧乏神は朝風呂に入り、大いに正月を祝ったそうな。
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