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日記

平成28年11月22日の日本昔話

モッケキョウホウ

むかし、福島の船引町に弥五郎(やごろう)という貧しい桶屋の男が住んでいた。この男、一人ものであったので嫁を探していたが、なかなか嫁に来てくれる娘はいなかった。
そんなある夜のこと、弥五郎が寝ていると、縁側の方で「どっからっしょ!!(ドカン!!)」という大きな音が聞こえた。
あわてて出てみると、そこには大きな長持(ながもち)があり、長持からはきれいな娘が出てきた。そして弥五郎は、この長持から出てきた娘と夫婦(めおと)になり、毎日仲睦まじく暮らすようになった。
ところが、弥五郎の嫁の美しさはお城の殿様の耳に入るまでになり、殿様は弥五郎の嫁を自分のものにしようと企んだ。
そこで殿様は弥五郎を呼びつけ、嫁を差し出すように言い、もしそれが嫌なら、梅の千年古木にスズメを千羽留まらせて持ってくるよう申し付けた。
弥五郎は困ってしまい、家に帰ってこのことを嫁さんに話した。すると嫁さんは笑いながら「そんな事、造作もないことじゃ。」と言う。
翌日、弥五郎は梅の千年古木をお城に持って行き、嫁さんに言われたとおり、パンパンと手を打った。するとスズメが千羽飛んできて、梅の千年古木の枝にとまった。
それでも殿様は弥五郎の嫁をあきらめず、また難題を吹っかけた。今度は千頭の馬に茅(かや)を千駄(せんだん)付けて持って来いと言う。
弥五郎が家に帰って、また嫁さんにこのことを話すと、どういう訳か嫁さんは蟻を千匹集め始めた。ところが、不思議なことに弥五郎が外を見ると、いつの間にか千匹の蟻は千駄の茅を背負った千頭の馬に変わっていた。
殿様はこれを見てもまだあきらめず、今度は“モッケキョウホウ”を持って来いと言う。“モッケキョウホウ”とは、思いもよらぬほど重宝な物という意味だ。
これを聞いた嫁さんは、弥五郎になにやら戸棚のような物を作らせて、お城に持って行かせた。
お城に着いた弥五郎は、嫁さんに言われたとおり、まず右の扉から戸棚を開けるように頼んだ。家老がこれを開けると、戸棚の中から沢山のお侍が出てきた。なるほど、戦(いくさ)の時には思いもよらぬほど重宝な物だ。
ところが、これでも満足しない殿様は、自ら左の扉を開けた。すると、戸棚の中からは炎が勢いよく噴き出し、お城はあっという間に火に包まれてしまった。
大事なお城は焼け落ちてしまい、これに懲りた殿様は、もう無理難題を人に押し付けることはなくなった。
そして、弥五郎と嫁さんは、その後も末永く幸せに暮らしたそうだ。
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