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日記

平成28年11月30日の日本昔話

むすめ杉

昔、京の都から精顕(せいけん)という若者が陸奥(みちのく)を目指して旅をしていた。
精顕が京都を出たのは菜の花が咲く頃だったが、陸奥に着く頃には中秋になっていた。
精顕は杉沢の里に着き、近くの杉林の中の泉で渇いた喉を潤そうとした。
すると、どこからともなく若い娘の透き通った歌声が聞こえる。そして水を飲もうとすると、泉の水面に年のころ16~17ばかりの美しい娘の姿が写った。
精顕はハッとして後ろを振り返ったが、そこには杉の若木があるだけだった。
その日、精顕は近くの吉田屋という旅籠(はたご)に泊まることにした。精顕が眠りについて少したった頃、木の葉が揺れるような音がした。
そしてふすまが開き、琴の音が聞こえてきた。しばらくすると、そこには昼間泉で見た娘が琴を前にして座っていた。
娘は精顕に、「私はこの里にいて、ずっとあなたのことを待っていたのです」と言う。娘がそう言い終えるとその姿は消え、精顕は元の真っ暗な部屋の中に一人でいるだけだった。
翌朝、精顕が旅籠の主人に昨晩のことを話すと、主人は「きっと、あなたに好意を寄せた杉の木の精が現れたのでしょう。」と言う。
精顕がもう一度泉を訪れると、泉の奥に緑色の小さな家があった。そして、なんと家の中には昨晩の娘がいたのだった。精顕が娘の名を聞くと、娘は「杉」と名乗った。
杉の物腰は、この山里には似つかわしくないしとやかさで、長い黒髪を持ち、若杉を思わせるような体つきであった。
精顕はすっかりお杉に心を奪われてしまい、いつしか二人は離れられなくなってしまう。そして、精顕はお杉と一緒に旅を続けることにした。
精顕とお杉が京の都に戻ってきたのは、翌年の春であった。そこで二人は幸せに暮らしたが、いつしか、お杉は遠くの空を眺めるようになる。
精顕が訳を尋ねると、お杉の故郷の慣わしでは、一生に一度はお伊勢参りをすることになっている。自分もお伊勢参りがしたいと言う。
そこで精顕は、お杉と共にお伊勢参りに旅立った。お杉はたいそう喜び、自分の願いを聞いてくれた礼を述べるとともに、もう一つだけ願いがあると言う。それは生まれ故郷、杉沢の里に帰ることである。
やさしい精顕は、お杉を連れて杉沢の里へ向かって発った。
二人が最初に出会った杉林に着き、泉のほとりの一軒家で数日を過ごしたある日の晩、お杉は泉の水を汲んできてほしいと精顕に頼む。
精顕が戻ると、そこにはお杉の腕に抱かれた玉のような赤子がいた。そこで精顕は、ここ杉沢の里に骨をうずめることを決めた。
二人は子供とともに幸せに暮らしたが、不思議なことにお杉は年老いることなく、いつも若いままであった。一方、精顕はやがて年老い、亡くなってしまった。
亡骸は若杉の元に葬られが、その日を境にお杉と子供も精顕の後を追うように姿が見えなくなってしまった。若杉はその後何百年も生き、大木となって今でも精顕の墓を守っている。
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