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日記

平成28年12月26日の日本昔話

甚兵衛山のキツネ

むかし、おらが婆様から聞いた話じゃよ。茨城県の上岡(うわおか)という所に、甚兵衛さんという樵(きこり)の爺様が住んでおったそうじゃ。
ある春の日のこと。甚兵衛爺さんが山で木を切っておると、猟師に追われたキツネが一匹、爺さんの所に逃げてきた。
すぐに猟師がやって来て「キツネを見なかったか?」と聞いた。爺さんは「あっちに逃げた。」と、あらぬ方向を指さし、猟師が去った後、キツネを山に帰してやった。
やがて夏がやって来た。その年の夏は酷い暑さで、甚兵衛爺さんは暑さが身に堪え、寝こんでしもうた。そうしてとうとう意識を失ってしもうたそうな。
やがて爺さんが気がつくと、美しい娘っ子が一人、爺さんの枕元に座って、かいがいしく看病してくれておった。
爺さんがお礼を言うと、娘っ子は「私はあなたに命を助けられた者ですから。」とだけ言う。じゃが、爺さんはどうしてもその娘っ子のことを思い出すことができんかった。
それからというもの娘っ子は、朝早くから食事を作り、部屋に美しい花を飾り、薪を里に売りに行き、血を分けた実の子でもできんような熱心さで爺さんの世話をした。
甚兵衛爺さんは嬉しゅうて嬉しゅうて、涙で布団を濡らすことが何度もあった。
じゃが、秋の終わりも近い冷たい雨の日、爺さんの容態は急に悪うなった。
そうして「すまねえなあ、ワシのような老いぼれに。実の子供でもねえのによ。」と、何度も何度も娘っ子の手を握り、すまねえ、すまねえと繰り返しながら甚兵衛爺さんは死んでいった。
甚兵衛爺さんの亡骸は村人達の手で山の中腹に葬られた。その頃から急にあの娘っ子の姿はみえなくなり、村人達の中にもあの娘っ子の行方を知る者は誰一人いなかった。
村人達は、あの優しい甚兵衛爺さんの事だから、助けたキツネが恩返しに出てきたのだろうと噂し合った。そうして、甚兵衛山のキツネのように、世話になった人には恩返しをしなけりゃならねえと語り伝えたという。
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