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日記

平成28年12月27日の日本昔話

白妙姫

むかし、下総の菅生沼(すがおぬま)に、身の丈が人間よりも大きい真っ白い鯉がいた。ちょうどあやめの花が咲く頃、弥八(やはち)という漁師が、この鯉を取ろうと狙っていた。
弥八のおばば(婆さま)は、「あの鯉を取っちゃなんね」と弥八を止めた。しかし弥八は、おばばが止めるのも聞かず、菅生沼に舟を出した。ところが、あやめの咲き終わる頃、鯉はパッタリと姿を見せなくなった。
月日は流れ、次の年のあやめの咲く頃。弥八は、今年こそ鯉を取ってやろうと、沼に舟を出した。鯉は、弥八の舟に向かって泳いでくる。
ところが、鯉は弥八の舟の前まで来ると大きく跳びはねた。そして、なんと宙を飛んでいる時に言葉を発したのだった。
「主膳(しゅぜん)さま、お懐かしい主膳さま」鯉は弥八の舟を飛び越え、馬洗城(うまあらいじょう)の方へ泳ぎ去って行った。
驚いた弥八は、このことをおばばに話した。おばばは言う。「そうじゃろう。口も聞くじゃろうて。何しろ、あれは白妙姫じゃからなぁ。
白妙姫は沼に身を投げ、鯉になられたんじゃ」そして、おばばは弥八に白妙姫の話を聞かせた。
おばばが生まれるずっと昔のこと。その頃、馬洗城の城主は横瀬能登守長氏(よこせのとのかみ ながうじ)と言った。
長氏は、3年前に菅生の城主、越前守胤貞(えちぜんのかみ たねさだ)を奇襲し、これを滅ぼした。そして、近隣に強力な相手もいないことから、わが世の春を謳歌していた。
ちょうどあやめの咲く今頃の季節。長氏は、馬洗城の堀に咲くあやめを見ながら、酒を飲みたくなった。
息子の主膳をお供にして、酒を飲みながら横になっていたところ、そこでお酌をしていた侍女の妙(たえ)は、おもむろに懐刀を取り出す。
しかし何を思ったのか、妙は懐刀を落として、地面に手をついて泣き始めた。これを見た息子の主膳は、いったい何をしようとしたのだと妙を問いただした。
妙は言う。「主膳さま、父上能登守さまは、私の父の仇(かたき)でございます」
これを聞いた長氏は言った。「越前守胤貞の娘、白妙姫か?」
妙は答える。「いかにも。この3年間、身分を隠して折をうかがっておりました」
「白妙姫、どうして今やらなかったのじゃ?今なら簡単に討てたものを」
白妙姫は言う。「あなたを討てば、いとしい主膳さまが悲しまれます。どうしてそんなことが出来ましょう」
そして、「主膳さま、さようなら」という言葉を残して白妙姫は堀に身を投げた。しかし不思議なことに、その後いくら探しても白妙姫の亡骸(なきがら)は見つからなかったそうだ。
その後も菅生沼の白い鯉はたいそう長く生き、あやめの咲く月の美しい夜に、馬洗城に向かって真っすぐ泳いで行ったと言うことだ。
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